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「ボイラー技士」とはボイラーの取扱い、点検、安全管理を行う人のことです。特級、一級、二級という3階級に分かれています。ボイラーの取扱いだけなら階級の区別は関係なく、二級を持っていれば全てのボイラーを取り扱う事ができます。
厚生労働省が定める「ボイラー及び圧力容器安全規則第24条」において、ボイラーの的確な管理・取扱い、安全確保のために、取り扱うボイラーの伝熱面積に応じてボイラー取扱作業主任者を選任する必要があります。
ボイラー技士の種類とボイラー取扱作業主任者の選任基準を表にしました。
必要資格 |
取り扱うボイラーの伝熱面積の合計 |
|
---|---|---|
|
貫流ボイラー以外 |
貫流ボイラーのみ |
特級ボイラー技士 |
500m2以上 |
- |
特級/一級ボイラー技士 |
25m2以上500m2未満 |
250m2以上 |
特級/一級/二級ボイラー技士 |
25m2未満 |
250m2未満 |
特級/一級/二級ボイラー技士 ボイラー取扱技能講習修了 |
小規模ボイラー※1 蒸気ボイラー(3m2以下) 温水ボイラー(14m2以下) 蒸気ボイラー(銅の内径750㎜以下、且つ銅の長さ1300㎜以下)
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小規模ボイラー※2 貫流ボイラー(30m2以下) 気水分離機を有するものでは気水分離機の内径が400㎜以下、且つその内容量が0.4m3以下
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上記小規模ボイラーの範疇を超える中規模以上のボイラーを設置して運転するには、ボイラー技士をボイラー取扱作業主任者に選任する必要があります。
逆に小規模ボイラーしかなければボイラー技士は必要なく、ボイラー取扱技能講習さえ修了していればよいという事になります。
あなたの職場にあるボイラーの仕様書に、ボイラーの種類や伝熱面積の記載が載っていると思います。ボイラー技士を必要とされるかどうか一度確認してみてください。
受験資格はなく誰でも受験することができます。一方で試験合格後、免状交付の申請時に以下のいずれか1つの添付が必要です。
人によって該当する要件が異なります。要件がかなり細分化されており詳しくは厚生労働省のHPご参照です。
実務経験がなくても大丈夫です。一般社団法人日本ボイラ協会によりボイラーを取り扱ったことがない人の為に開催されている20時間の講習があります。実務経験のない人はこの講習を受講する必要があります。
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2級ボイラー技士試験は全国7箇所ある安全衛生技術試験協会にて月1~2回開催されています。試験の申込用紙は自分で取りに行くか、安全衛生技術試験協会から郵送してもらうかのどちらかになります。
センター名称 | 住所 | 電話番号 |
---|---|---|
北海道安全衛生技術センター |
〒061-1407 |
TEL 0123-34-1171 |
東北安全衛生技術センター |
〒989-2427 |
TEL 0223-23-3181 |
関東安全衛生技術センター |
〒290-0011 |
TEL 0436-75-1141 |
中部安全衛生技術センター |
〒477-0032 |
TEL 0562-33-1161 |
近畿安全衛生技術センター |
〒675-0007 |
TEL 079-438-8481 |
中国安全衛生技術センター |
〒721-0955 |
TEL 084-954-4661 |
九州安全衛生技術センター |
〒839-0809 |
TEL 0942-43-3381 |
遠方に住んでいる方のために出張特別試験も開催されており、各都道府県にある大学や公民館などが試験場になったりします。開催頻度は安全衛生技術試験協会に比べて少なく、年に1~2回程度です。
試験科目、問題数、合格基準を表にしました。出題形式は五者択一(マークシート)です。
試験科目 |
問題数 |
必要正解数 |
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ボイラーの構造に関する知識 |
10 |
各科目4割以上、且つ全体で6割以上 |
ボイラーの取扱に関する知識 |
10 |
|
燃料及び燃焼に関する知識 |
10 |
|
関係法令 |
10 |
安全衛生技術試験協会の公表では合格率は50~60%といったところです。
ボイラーはビル、病院、ホテル、工場、銭湯、学校などの施設で広く使用されています。2級ボイラー技士を所持していればどんなボイラーでも取り扱えるので仕事の幅が広がることは確かです。
但し、この資格ひとつで直ぐに就職や転職ができるかというと答えはNOです。
なぜなら、ボイラー取扱作業主任者としてカバーできる伝熱面積が小さいうえ、ボイラー実技講習さえ受講すれば実質的に実務経験がなくても取れてしまう資格だからです。
では、就職や転職のために2級ボイラー技士免許は取らないほうがいいのか??…というと、そうではありません。
結論として、
2級ボイラー技士は1級ボイラー技士の通過点として取るべきです。
1級ボイラー技士は
(1) 伝熱面積が500m2未満と一気に大型ボイラーの取扱作業主任者になれる
(2) 1級の免状交付条件として2級ボイラー技士免許を取得した後の実務経験が求められます
1級では2級のように
「資格はあるけど実務経験はありません(´> ω <`。)ふぇぇ…」という人はいないため、経験者を求める求人にも即応募できます。
環境省が公表している大気汚染防止法施行状況調査における、ばい煙発生施設の届出数とその中に含まれるボイラーの届出数をグラフ化しました。ちなみに2008年はリーマンショックの年ですね。
ボイラーの届出台数の傾向としては緩やかに減少してはいるものの、対2008年比で10年後の2018年度が▲6.4%ですので急激に変動している訳ではありません。つまりボイラー技士のニーズは毎年一定以上はあるという事が言えます。
※但し上記ボイラー届出台数だけではボイラーの伝熱面積までは分かりません。参考程度に留めておいて下さいね。
数ある参考書の中から私が一発合格した書籍を紹介します。私のポリシーとして自分が使ってみて、良かったところ、悪かったところを正直にレビューしています。教本の購入を検討されている方の参考になれば幸いです。
さて、実は私自身がボイラーの知識が全くなかったので初心者向けの書籍を調べ、まず最初にマンガ形式の参考書を購入しました。
書籍:マンガでわかる 二級ボイラー試験(改訂2版) | |||||||
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ボイラー初心者向けにボイラーの基礎から理解できるよう構成されています。「マンガ」→「まとめ文章」→「確認問題」の繰り返しでテンポよく章が進みます。
「マンガ」の部分では何故そういう構造になっているか?を理解するのに非常に分かり易いです。ですがマンガの部分は覚えるべき重要箇所がややぼやけています。
「まとめ文章」ではマンガでぼやけた部分を補足しています。「マンガ」と「まとめ文章」で1度読んで2回学習できる構成です。
私は本書を読み終えて過去問をいくつか取り組みました。結果として本書だけでは合格点には到達しなかったので2冊目の書籍を購入しました。
ですが、2冊目の内容をスラスラ理解できたのも、初学者の私が初めてのボイラーの勉強を投げ出すこともなく基礎を学ぶことができたのも、本書のお陰だと思っています。初学者にお勧めの一冊です。
以下アマゾンのリンクです。口コミで星が少ない評価の方は私と同じく「この本だけで合格するのは難しい」という意見が見られます。ですが、私はこの本を買って後悔はしておらず、むしろ初学者の取っ掛かりにはもってこいの本だと思っています。 リンク
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マンガで基礎を学んだうえで、次に購入したのはこちらです。
書籍:【改訂版】二級 ボイラー技士試験 | |||||||
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内容は試験出題問題を意識して構成されており無駄がありません。覚えるべき部分は「最重要ポイント」として図解やグラフで仔細に解説されています。
本書は以下の構成になっており各章のおわりに理解度確認のための問題と解説が入ります。
第5章の「模擬試験」で7割以上取れれば合格ラインに立てたと思ってください。間違えた問題は第1章~4章に戻って復習すれば良いです。(本書では8割以上の得点が取れれば試験対策は万全と記載されています。実際私は7割レベルで合格できました。)
私は本書を学習後に過去問題をやる時間がありませんでした。つまり試験対策の直前には本書の模擬試験までしかやっていません。過去問題をやるに越したことはありませんが、本書の「模擬試験」で7割以上取れれば実試験に挑戦して良いと思います。
本書は目次や解答・解説ページまで含めても全200ページしかありません。試験までに時間がなくても短期集中すれば十分やりきる事ができるボリュームです。 リンク
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あと、おさえておきたい事として「ボイラー技士」と「危険物取扱者 乙種第4類」とを合わせ持っておくと実務で役に立ちます。
なぜならボイラーの燃料に重油が使われるケースがあり、貯蔵タンクに指定数量以上を保管することがあるからです。
重油は消防法で定めるところの危険物であり、指定数量以上の保管となれば危険物取扱者の有資格者が必要になります。
2級ボイラー技士は・・・
という訳で職場にボイラーがある方は資格取得に挑戦してみて損はないと思います。
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